◆アートフェア東京URL
2019/3/7(木)〜3/10(日) 国際フォーラム
◆香川県漆芸研究所URL
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アートフェア東京へ出品する作品紹介をしていきます。
籃胎蒟醤箱「川霧」
Covered box with "River mist" design.
13×26×11㎝
¥1,000,000
この作品は、一昨年の伝統工芸展に出品した作品の複製でした。 オリジナルはお客様のお手元にあります。
とはいっても、箱の大きさと色味が違います。 初めてベルソーを使ってみた作品なので、復習してみようかなと思いました。
以前から霧をずっと表現したいと思っていました。
が。
どうやって彫っていこうか、そこが長い間ネックでした。
角剣と呼ばれる点彫り専用の刃物もあるのですが それでは到底埒が明かない、というか絶対嫌だと思いました。 点彫りはかなり手に負担がくるからです。
昔銅版画で遊んだとき、ゆらゆら揺らしながら点をつけていく面白い道具があったなぁという記憶がぼんやりしていたときに頭にふっと出てきてくれました。
ベルソーの別名はロッカーというんですが前後に揺れるっていう意味だそう。 ロッキングチェアとかそういうことか。
振り子のように揺らすと櫛歯状の刃物が無数の点を作ってくれます。
道具の考案者は偉大だなぁ。
すぐに世界堂へ行って小さいベルソーを買って家で試したとき、
「いける_:(´ཀ`」 ∠):!」と思いました。 それが5月の終わりだったので大慌てで刃物屋に漆用に作ってもらいました。 特殊なものなので来年の挑戦になるかなと思ったのですが、
ものの1週間で作ってくれた職人さんはプロでした。
そこから岩の配置を大まかに決めて、霧が行きたいように流れたいように 彫りながら進めていったので、実は下図もほとんどありません。 作ってて我ながらおおらかで自然体だなと思いました。
技法や表現への挑戦が評価していただけたのか、日本伝統工芸展で新人賞をいただき テレビの取材までしていただきました。 だけどミャンマーの旅から帰ってきた次の日の取材は本当に命からがらでした。 (お腹がピーピーだったから)
ミラクルは霧を表現したいと思うところからはじまっていたのかもしれないと今は感じています。 なんで霧に執着していたのかいまだに自分でもわからないからです。
導かれるように作っていったものはこれより前も後もないですが 今後、またそんなものが作れたらいいなと心から願います。
さて、これでほぼほぼ出展する作品はご紹介を終えました。
美術館などでもあまり作品に対する自分発信の説明文はつかないものなのですが どういう思いで作っているのかというのは当然毎回あるわけで。
なんだかまるで自分の頭を整理するために書いていたようにも感じます。 これらを読んでくださった方にはお付き合いいただき誠に感謝いたします。
作品は年に3つ作るのがせいぜい。 その間に小物を作ったり。
題材を決めるために結構のたうち回る時間が必要なので 頭をなるべくシングルタスクにしておきたい。
最近は籃胎に絞ってます。
本来移り気で散漫な自分が漆の前では通用しませんでした。 好奇心旺盛なのが長所だと思ってたのに(笑) 自分を変えざるを得なかったですね。
でもまたそれも一興!です。
アートフェアの準備も佳境にはいってきて、 今回クレジットカードも使えるよう対応しました。 なんだか個人のお店が開けちゃいそうですよ(笑)
だいたい揃ったかな。