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​物作りの日々。と言葉

籃胎蒟醤茶箱「長楽未央」


◆アートフェア東京URL    2019/3/7(木)〜3/10(日)    国際フォーラム

◆香川県漆芸研究所URL

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アートフェア東京へ出品する作品紹介をしていきます。

籃胎蒟醤茶箱「長楽未央(ちょうらくみおう)」

Tea box with "Tyourakumiou" design

18×15×13

¥800,000

籃胎は竹を編んだ籠が素地になっています。

古くは縄文時代から籃胎漆器はあります。

きっと道具がない時代の製材は、木よりも竹の方がやりやすかったのでしょう。

この作品は四年前伝統工芸展で初入選した作品でした。

「長楽未央」は長い楽しみは未だつきないという縁起の良い言葉であり、自分の創作活動に思いを重ねました。

その当時、クラフトでいこうか伝統工芸でいこうか修復でいこうか…自分には何が向いているのか、それすらわからない時期でした。

恥ずかしながら方向性が定まったのはここ近年です。

伝統工芸はメジャーな分野でないことは確かで、心を定めるのにかなりの覚悟がいりました。

世の中に必要とされるからものというのは売れるわけだし、稼いでいくことも並ではないはず。

では何故やるのかといえば、それは純粋に素材、技にリスペクトがあり、追及して研究を重ねることがゆくゆくものつくり界への貢献へつながると確信したからです。

大量生産で安さを求められた結果、粗悪な下地を施した漆器が大量に出回った時代がありました。

塗膜が剥がれ落ちるなどそれが漆の価値を大いに下げ、現代の漆界はそのイメージの回収を強いられています。

きちんと作られたならば千年でももつものなのです。

そして安さを求められそれに無理に答えた先に、質の良い仕事がやってくることはほぼない事は歴史が教えてくれています。

まず漆は高級素材であること、そして残念ながら大衆向けではないこと。

修行僧に例えると、修行中は労働ができないのでそのままでは生きていくことができません。 なので托鉢やお布施をもらうんですが、その施しをもらうために修行するのは本末転倒であり、専門的な分野はあなたにしかできないから世の中のためにあなたに任せたというのが本来の修行であり応援の意味合いだと思っています。

これはまあ大袈裟な例えですが…。

でもそれを説得させる姿勢と結果は出さないといけないですね。

とある女性の学識の方に、「あなたは(山から)降りてこなくていいから」と言っていただいたことがあり。

お山の大将…がふっとよぎりながらも、そんなことを言ってくださる方もいるのだな…と感慨深い気持ちになりました。

さらに深く根を下ろす覚悟がないとやっていけない世界なのかもしれません。


2025 © Natsuko Kamigaki
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