下ごしらえが終われば、蒟醤(きんま)という加飾に入っていきます。
蒟醤をきちんと説明しはじめると壮大な感じになってしまうので、まずはなんとなく軽い流れでいきたいと思います。
発祥は東南アジアで、ミャンマーやタイから伝来してきたエスニックな技法になります。
この技法を一生懸命勉強していると何だか色々豊かな経験をさせてくれそうな予感がします。
ここに蒟醤剣と呼ばれる蒟醤専用に作られた刃物があります。
この蒟醤剣というやつも、幅から角度から彫りたい物に合わせて何本か作ります。
が、今回はこの小さな丸刀一本でいきます。
本当は線彫用なのですが、挑戦として突いて丸を彫ろうと思いました。
土と漆を混ぜた下地層を彫ると刃物が欠けるので、10回ほど塗り面を作り漆の層を作ります。
やはり彫るのが蒟醤の一番の大変なところ。
何日もかけて彫るのですが、休憩や睡眠をはさむと感覚が変わりますのでなるべく一連の流れで彫りたい…けど無理ですね。
なるべく集中して根気よく取り組む工程です。
今回は独立した彫りなのでそういった面では気楽ではありました。
蒟醤は線彫りが一番難しいと思います。
が、美しい線彫りにはやはり魅了する力があるように感じます。
なかなかきちんと彫るにはそれなりの壁があります。
尊敬する先生が、味わうように優しい柔らかい線を彫りなさいとアドバイスをくださいました。
よく研いだ刃物で目を揃えて彫れば嫌でもキツくなります。
その上を目指せという事でしょうかーーー。